PMの話をするためにAmazonで無料の本を読んだら想像以上に良かった話(と本の読み方について)

あらすじ

エモいデザインパターンなどの本を技術書典で出したりした人とプロジェクトマネジメントじみた話をすることになったので、真面目な私はすこし準備をすることにしました。

4〜5年ほど前に作った過激な資料を見返したりして、なんとなく提供できる話題をログとしてまとめたるなどしていたら、事情により延期される事になりました。そこで、ちょうどその抜け漏れみたいなののチェックも兼ねて、Qiitadonで流行っていたAmazonで無料の本を読んでみることにしたのでした。

これ、Amazonで無料ってwぐらいの気持ちで読み始めたのですが、これがどうして中々、結構しっかりとした内容で、筆者のスタンスみたいなものもすごく伝わるようになっていたので、有料のものも買うことにしました。ただ、定価約2000円のところを299円って法律的に問題ないのかな

無料の本

成果を生み出す組織の条件-実践!チームマネジメント研修②-人を育て、人を活かす 実践シリーズ
という本でした。

無料の本の概要

  • 成果を生み出す組織のあり方の話
    • 大きな組織単位ではなくチームレベルで、コミュニケーションロスが生じないようにして意見を採用して具体的な成果ベースでの会話を増やす
  • PDCAを(1)生産(2)新規価値創出ほかで分けて、特に(2)におけるPDCAではまずDOをして繰り返せという話
  • 成果を生み出す人の定義(成果を生み出す段階を5段階で定義)と採用、育成に関しての話

ですが、これが研修を一人称視点での小説のような形で追体験できるようにしてまとめてあります。

ざっくり感想

とりあえず読み終わった。
感想はだいたい書いたけど、良い本だと思う。特にわかってない人の入門としては良い。
わかってる人には物足りないかもしれないけど、物語を通して整理されているし、講師と参加者のやり取りとかはメタ的な視点で筆者が講師としてどういう受け答えのあり方を大切にしてるかとか、そういうのが見える書き口になっているから、その辺を意識する教科書としても使える。
こういうのは内容要約すると落としがちなんだけど、あえて物語で書いてる意味もあって、こういう振る舞いでやり取りするんだよ、というのを見せている。真正面からそうは書いてないんだけど、価値の見出し方によっては、むしろ一番価値がある部分かもしれない。要約だとこの辺落としがちだから、難しいよね。

この本に対して推奨する読み方

まー本の読み方に推奨も何もないだろと思うのですが、Amazonのレビューを読んでいて私が感じたような部分に焦点をあてた物がなかったので、少し書きます。

結論としては、ストーリーを通して得られる結論だけをピンポイントに拾う/まとめるだけではなく、ストーリー部分での講師の振る舞いや個人の振る舞いもよく観察して、ストーリーの振る舞いにはこの本で述べたあり方が散りばめられているものとして参考にすべきということです。

まず、この本は文芸書ではなく、いわゆるビジネス書です。この後に説明する有料の本にもトピックとして記載がありますが、筆者は過剰品質を生じないようにするという深い拘りをもっており、不必要と思うものを排することを生業としています。そのような筆者の書いた本にあって、おおよそ無意味な記述は存在しないはずです。
そこまで強い事をいうと、筆者を信頼しすぎじゃない?という気もしますが、まあ少なくとも筆者本人の思いとしては、無駄な記述はないはずです。確かに、書評にある通りに一見無駄に見えるような日常生活風やり取りや、小馬鹿にした感じの記述もあるのですが、そこには意図があるはずで、その意図を感じ取りながら読むとメリットがあります。
私が感じ取った意図は、次のようなものです。

  • 実際に受講した生徒(会社員)などをモデルとして、等身大の描き方をすることで、感情移入を促す
  • 講師の考え方や行動様式を示す、特に講師としての生徒からの質問の受け方、話の進め方、大切にしていること等を示す
  • 実際の受講生の程度=一般的な会社員の考え方や行動様式を示す

はじめのものは、さすがに自明かなと思います。
また、講師の人の描写を見ると、あえて講師の返答に一言目から間を置いて「ありがとうございます」を差し込むような場面がしばしばあります。上述の通り、筆者が無駄を排除している前提で考えると、このような細かいやり取りを挟む理由は何でしょうか?
また、第三者が講師に質問をするシーンで、主人公が質問に対してアレっ?と思う事に対して、講師がまずは肯定で受けて、結論は主人公が思う通りの内容に持っていくというものがあります。これは、結論だけではなくてその応答の仕方にも本質が現れているわけです。講師は決して受講生の発言を否定しない、それこそがコミュニケーションロスを防ぎ、また成果についての会話を生み出すための営みなのですね。
その意味で、ストーリー部分(?)もメタ的に本書の実践になっている、という構造があるのです。

さらには、一般の人ってこういう考え方でこういう事を思うよね、という事を伝えるという機能性もあります。特徴的なのは、後述する有料の本の中に出てくる、「土曜日に研修を受ける時の主人公の考え」です。この主人公、地の文で「(みんなラフな服装だけど講師の人が土曜日にスーツを着てくるなんて)なんかこだわりでもあるのかな?」などという事を思ってしまうわけです。私個人は、そりゃあ講師だから仕事服で臨むのは全く普通であって、(もちろん仕事服がスーツでなければそれはそれだけど)さすがに「なんかこだわりでもあるのかな?」というのは幼稚過ぎるだろうと思います。ただ、筆者がわざわざこのように書いた理由は、”きっと”こういう考え方の方が読者にとって親しめるものだろうと思ったという事なので、受講生ってピンポイントにこういう場所で常識からずれていないとしても、こういうものだよというメッセージとして受け取れます。

という事を踏まえると、上述の通り、ストーリー部分に関してもじっくりと受け止めた方が良いです。特に、このストーリーは実際の研修とは違って、「止まった活字」を何度でも振り返る事ができる訳ですから、講師の振る舞いを見逃してしまった、というような事を無くせるわけです。単に書籍になっていることで、短く読めるというだけではなく、繰り返し読めるというメリットもあるのですね。このような事に注意しながら読むことを推奨します。(とはいえ、もちろん読み方は人それぞれ!)

雑多な感想たち

読みながらトゥートしていたので、それを適当に載せました。

無料本いいな。
まだ1/4ぐらいしか読んでないけど、KPIを正しい順序で設定できたら勝ちパターンというのは多分そう。
プロジェクトのKPIは難しい場合があるのと、プロダクトのKPIはビジネスモデルだからやっぱり難しいのはあるけど、土台が既にできてるなら曲がりなりにも回ってるから改善に持ち込めば勝ちパターンではある。その他のチームの問題を抑えた前提で。

 

成功体験を言語化するのはそうなんだよなー
昨日まとめた記事に部分的に書いてるけど、どんな取り組みも成功体験をちゃんと切り取って保存すべき、そしてそれ自体は楽しむべき
一方で、失敗は失敗で対策をする
同じ事はくりかえさない、当たり前の話なんだけど

 

採用の話だけ急にシビアになって、それはそれで受けた
間違った人取らないのめちゃめちゃ大事だし、合わなければお互いにとって不幸なのでどこか合うところでというのはあるんだけど、どこでも落ち続ける人とかはいるからなあ

 

採用の部分に関しては、レベル3とか2.5とかを判定できるほどにそもそも学生は喋れない、というところが大きい。あと、バイタリティ的な部分は測れるけど、例えばプログラミングでは綺麗にコーディングできるかどうかはある種の頭の良さが作用しているとは思う。
間違ってはないんだけど、何か片手落ちなんだよなー(途中並感)

 

成果は乏しいけど枠組みとしてはレベル3の場合と、成果は凄いけどレベル1や2という事が、プログラミングでは簡単に起きる。
業務システム作りとかになると、乏しい成果でもレベル3とかの方が勝てる(?)んだけど、極論で競プロではレベル1でも強い事はあり得る。その辺は使いようという感じもある。

 

波風が立ってても云々という話はなかなか難しくて、それが波風か本質的に判断できない場合は結構ある。
状況に応じてとは言うんだけど、組織とか仕組みが存在している前提でもあるから、気を利かせるのは日本的だけどそれが本当に良い事かはわからない。
難しいというだけで、私個人はそういうの対応しがちだけど、本当にそれが良いかは私はわかっていない。日本でハイパフォーマー見ればその傾向があるのは確かにそうだろうけど、それは本当に普遍的なものだろうか、というのは気になる。それは、組織化する事によって、「魔改造された日本」を凌駕する案件をいくつか知っているから

 

相手のレベルに合わせて指示のしかたを使い分けるなんて発想は、今までのオレにはなかった。

という表現があって、これは実際そういうレベルの主人公想定なんだろうけど、とするとやっぱりもっと本を読むべきという話なのかな。
PDCAとかもそうだけど、わかりやすさや腑に落ちる感は別として、事実としては多くの本に書いてある事なので、研修の前に本を読むべきではという気持ちになる。
実際、研修は数万円とかかかるだろうけど、本は1/10もせずに残るし、要する時間も短い。
実際体を動かしたり体験として残した方が記憶に残るというか印象に残るのかもしれないけど、どうなんだろうな。こういう事例って読書の仕方改めるべきなんじゃないかといつも思うんだけど、読むの不得意だと無理なのかな。

 

レベル 3. 5以上というのは、到達できる確率はどんどん落ちていきますし、誰もが到達できるものでもないという領域になります。この点は予めご理解ください。誰もがこうすればハイパフォーマーになれる。そんな魔法の杖はないし、それがあるなら、ハイパフォーマーという呼び方すらなくなるでしょう。」

ぐう正論
レベル3.5が成果基準を超えられる人
でも、成果基準を超えられるぐらいなら、期待を裏切る成果を出せという事なので、誠意と努力でなんとかなる仕事の方が多いと思う。もちろん、そんな小学生でもできるはずの事が性格なのか何なのかの理由でできない、という事には同意するし、仕事によっては能力も必要になるから無理な人が出るだろうけど。

 

成功体験を積み重ねるのは、やはり子供の頃の方が簡単で、スパゲティとマシュマロの話のように先入観ないからすぐ取り組む。
適切に考えて取り組めるかはわからないけど、それも結構フォームである事が多く、適切な指導者がついてその下で大量に試行錯誤して自分の力でなにかを為したとなるのが一番良い。多分。
それは少なくとも、自分の人生けっこう負け犬かも?と思い始めている高校までならそこそこうまくいく。大学でも多分やりようはあると思う、というか受験的な外圧はないので(就職はもちろんあるんだけど)、金沢工業大学とか見てると大学の方がやりやすいのかもしれない。
で、それが社会人になってからだとどうだろう。私の周りでは、30超えると変われそうな人は5%ぐらいかな、というような印象を持った。社会人〜だと現実的な目線で20%とか?どうだろう。

 

レベル5の育成も、結局は数をこなす事かなと思うけど、誰も思いつかないというのは結構間違いで、じつはみんな思いついている。というか、条件が揃わないと思いつかない。それは、科学や文化の歴史が証明していて、全ての発明も発見も、”飛んでるけど地続き”。どんな天才であっても、人間なので、飛んでるように見えても地続きで巨人の肩に乗っているし、世界が物理法則に従う限りは自分が全く同じ状況にあれば自然と同じことを思いつく。
どちらかというと、最後まで形にしたらやりきる根性とかかな、と思ってたらそのような事が書いてある雰囲気(途中並感)

 

リスクのない事って、失敗した時に疲れるのと、時間を無駄にした感が出ることの2つぐらいしかリスクが無い。逆に言えばこの2つはいつでも存在する。だけど、前者は最低限失敗である事を認知して経験値を貯めた、部分的に成功体験を積んだ、で回避できる。というのは、全体の結果が失敗であったとしても、細かくプロセスを分ければ戦術的な成功は絶対にあるはずで、戦術的な成功失敗を積み重ねるだけでも、何もやらないより随分成長する。これは失敗をネガティブに受け止めるかどうかで、物事に取り組んだら失敗するのが当たり前だと思っていれば、そうならない。
後者の時間を無駄にした感、言い換えると他の事が出来たんじゃないかというのは、それを考える人に限ってその時間で何もしないから、そんなことは全く気にしなくていい。もちろん後から振り返れば実際に無駄かもしれないけど、知識が無い状態でそれを判断するのは無理。聞いて知識をつけるとかならまだわかるけど、考えても正解は得られず、とにかくやるしか無い。
それで頭でっかちになると、まーだいたいよく無い意味で失敗するし使えないよね、という感じ。

 

そういう意味だと、考えるより前に手が動くような対象こそが得意分野という事なのかもしれない。
ただ一方で、作業とかは具体的なやり方をある程度見通し立ててやらないと効率悪い事も多いから、その辺どうするか。作業の見通しというより、成果の見通しというか成果の定義なのかもしれない。

有料の本についての話も載せようと思っていましたが、雑多な感想トゥートのボリュームが意外と多かったので、有料の本についての言及は次に回します。